包み隠さず精神科

現役精神科医が精神医療の内情を、包み隠さず話します

病院へ連れていけない認知症をどうするか

認知症で最もメジャーなものはアルツハイマー型認知症だろう。典型的には70歳ごろからゆっくりと物忘れが進行していき、性格変化が加わることもある。次第にものの認識も難しくなっていき、トイレへ自分で行けなかったり、食べ物を食べ物と認識できなくなっ…

過呼吸はどうすればいいか

過呼吸とはなんだろうか。Wikipediaで調べるとこう書いてある 過呼吸(かこきゅう、英: Hyperpnea)とは、必要以上の換気活動をおこなうこと。 その結果として動脈血中の酸素分圧が上昇、炭酸ガス分圧が低下し1回換気量が増大する。 初期状態は低酸素症と似…

医学部に受かる勉強法

・モチベーションにコストをかけろ 私は市営住宅生まれの市営住宅育ちで、お世辞にもお金を持っているとは言い難い家で生まれ育った。お金が無いので大学では奨学金をMAX10万円で6年間借りていて、それでも足りず授業料も何度か滞納したこともあるぐらい…

10代の「死にたい」をどうするか

通院中の10代患者の母親から、こんな電話がかかってくる。 「娘が遺書を書いていて、もう死ぬと電話をしてきたんです。一体どうしたらいいですか」 また別の若い患者は、診察室でこう言う。 「最近死にたいしか考えられないんです。どうやって死のうかばかり…

医者は診察と診察の間に何してるの?

私がまだ子供だった頃。当時よく熱を出していた私は、度々かかりつけの内科クリニックを受診することがあった。 年配の方がずらっと並ぶ中、子供の自分が椅子を一つ占領するということに、なんだか少し小気味好い感覚すら覚えるほどだった。私がかかっていた…

不登校への対応

結論から言うと、行きたくないところへは行かなくていい。なぜその結論に行きつくのかは、以下を読んでもらいたい。 不登校への対応は、年齢によって変わってくる。何が違うかというと、小中は義務教育であるという点だ。そもそも義務教育とはなんだろうか。…

家族に捨てられた精神患者たち

精神科病院の中には慢性期病棟というものがあって、なかなか退院できずに長い時間入院して過ごしている患者がいる。どれくらい長い時間かというと、「病院の創立からずっといます」なんて猛者が紛れていたりするぐらいだ。時間にして50年、60年になる。 私が…

医者が看護師に報告してもらいたい事 精神科ver.

医師に電話するとき、嫌な気持ちになりはしないだろうか。 もちろんそんな対応をする医師のほうに主な原因はあるのだが、そうは言っても医師をとって変えるわけにもいかない。そんな医師たちと付き合っていくために、こんなところを気を付けてもらえると・報…

ルールは、後出ししてはいけない

人と人が生きていくうえで、ルールは大切だ。憲法からはじまってたわいのない口約束まで、ありとあらゆるルールが世の中にはある。 www.outaku1.com さて、ルールを作るうえで、気を付けたい事がある。上の記事にあるように「するほうも破ってはいけない」の…

抗うつ薬の大雑把な使い分け

抗うつ薬のは数あれど、劇的な薬剤は昨今まだ出てきていない。 個人的にはエスケタミンが待ち遠しい。 さて、現在日本で販売されている抗うつ薬の大雑把な使い分けを記載しておく。そもそも現存する抗うつ薬は、効果の面でほとんど差異がない。臨床試験でも…

約束は、する方も破ってはいけない

育児や教育の現場で良く目にする事だが、約束を破る人がいる。 たとえば宿題をなかなかしない子供にしびれを切らし、ついカッとなってこう言ったとしよう 「晩御飯までに宿題終わらせてなかったら、もう家から出て行ってもらいます!!」 それに対して子供は…

体調不良を訴えて病院受診を繰り返す人

体がしんどい、耐えられない、苦しい、痛い 色々な訴えで、人は病院を受診する。病気が見つかればそれを治療していくのだが、幸か不幸か、原因が見つからない人もいる。そうなるとそのしんどさや苦しさは、改善する方法がない。中には大きな病院で精査して原…

仕事が出来るか心配な時の選択肢

上司からのパワハラや同僚からのイジメ、仕事の過負荷など、理由はたくさんあるだろう。仕事へ行こうとすると涙が出るようになり、それでも無理して続けていると、ついにはどうしても家から出られなくなってくる。ここまでくれば流石にたいていの人は病院へ…

家族内の精神バランス

家庭内の誰かが不調となったとき、周りの家族はその人の役割をフォローして、家庭機能を維持していく。父親がうつになれば、母親がパートを増やして頑張ってみたり。母親が不調になれば、子供たちが家事の手伝いを増やしたりといった具合だ。これは健全な家…

「したい事」と「しなきゃいけない事」は分けて考えろ

うつ病からの回復期。意欲面の回復具合はどうかなと思い、「今なにかしたい事はありますか?」こう聞いてみると、半数以上の人はこんな風に答える。 「早く仕事に戻りたいです」 「まだ出せていない書類があるのでそれをやりたいです」 あえて厳しいことを言…

うつの時どう過ごすか

「どうしていたらいいですか」 診察室でこんな風にきいてくる人がいる。うつ病になると頭が回らなくなり、自分に自信が持てず、なにをやっていてもダメな気がする。どれも上手くいかなくて、そんな状況も苦しくて、過ごし方が分からない。今のままでいいのか…

目標を立てるときの2つの注意点

外来診療でいろいろな人の悩みを聞いていると、とても気になることがある。 一部、目標の立て方が下手な人がいる。 具体的な内容はさておき2点、気を付けてもらいたいことがある。 1.スモールステップ たとえばうつ病に罹ったとき、はじめは目標どころの話で…

不眠を薬物療法以外で治す方法

不眠は生活の質が下がる大きな原因である。近年は、夜勤などが必要な業務も増えており、生活リズムの乱れが目立つ。 最も簡便かつ確実な治療は薬物療法なのだが、薬の副作用もあるし、いわゆる睡眠薬であるベンゾジアゼピン系は依存と耐性の問題も出てくる。…

精神科医の一日のスケジュール

8:30 出勤 服を着替える 机の上に積まれた書類の整理 (年金の診断書とか、訪問看護の指示書などを記載) 9:00 まだ病棟では看護師が申し送りをしているので邪魔になるため行けない コーヒーを飲みながら時を待つ 9:15 病棟へ。隔離・拘束している患者の診察…

「やる気の出る」声のかけ方

いろいろな精神科医がいると思う。そんないろいろな精神科医をたくさん集めてきて、治療が上手くいきがちな医者と、滞りがちな医者に分類する。それぞれの話し方を分析して、それぞれの話し方の違いを見つけてくる。そうして治療が上手いきやすい話し方をま…

リストカットへの接し方

前回分をまだ読んでいない方は、そちらから読んでもらえると分かりやすいかと思います。 www.outaku1.com 本日は前回の続きから。 「習慣リストカット」と「苦肉の策リストカット」 この二つに大別できるように思う。 習慣リストカットは文字通り、もはや癖…

リストカットをする理由

家族や友人、大切な人が、もしもリストカットをしていたらどうするだろうか。 止める?叱る?刃物を取り上げて?それから柱にでも括り付けておく? これは一般的なリストカットの話で、例えば統合失調症の人が妄想に操られて行う自傷などは対象としていない…

抗うつ薬の分類、個人的使用感

抗うつ薬について 大まかな分類 新しいもの SSRI SNRI NaSSA 古いもの 三環系 四環系 その他 SSRI 選択的セロトニン再取り込み阻害薬。 脳細胞同士がセロトニンというホルモンを使って情報を伝達します。「うつ病はセロトニンが減った結果、伝達が上手くいか…

良い精神科医の探し方 人となり編

医者自身の性格は、変えようがない。これの合う合わないはとても大きいと思う。 もうこればっかりは実際に医者と話をしてみるしかないだろう。 バシッと厳しく言われるのが合う人もいるし、さくっと診察が終わるのが良いという人もいる。いくつか受診して、…

良い精神科医の探し方 精神療法編

精神療法と言っても多岐にわたる。そしてその多くを、実は医者は行わない。なぜならば時間が無いからだ。専門外来だったり、大学病院のような時間の取れる病院は別として、一般的に外来で精神療法をする時間はほとんどない。30分の枠に5,6人いれるので、…

良い精神科医の探し方 薬物療法編

病院に行くからには、願うことならば名医に診てもらいたい。当然の考えだろう。 名医とまでは言わなくとも、悪くない医者を探したい。一体どういう医者が良くて、どういう医者が良くないのだろうか。一般的に病院を受診するときというのは、何かに困っている…

精神科病院の選び方

どんな病院が「いい精神科」だろうか。 これは非常に難しい質問で、もしかしたら正解は無いかもしれない。精神科の場合、内科とは違って治療が一本道ではない。そのためどうしても「合う、合わない」が存在する。 それでも少しでも自分に合った病院を選ぶた…

引きこもり相談

保健所相談という仕事がある。 病院には行くほどでもない、行きたくない。だけど誰かに相談したい。そういう病気と正常のはざま、グレーな人々が集う場だ。 そこで受ける相談で多いのが、引きこもり問題。 多い。多すぎる。3件相談が入って3件とも引きこもり…

精神科は楽?

医者の世界はピンキリで、バイト生活で週末だけ勤務して月収100万円!なんて過ごし方も出来なくはない。 ただ、王道としてはやはり普通に勤務をする事だろう。医者になるような人たちはレールから外れるのが苦手なのだ。勉強して、お受験して、また勉強して…

「泥棒」に関する話

10年前、祖母が失踪した。正確に言えば、伯父とともに家出をした。 理由は「お金を盗まれるから」だった。私の母親、祖母からみれば実の娘にだ。 当時は祖母、両親、私の5人で暮らしていたのだが、ある時から祖母と母が頻回に喧嘩するようになった。理由は「…