包み隠さず精神科

現役精神科医が精神医療の内情を、包み隠さず話します

精神科病院の選び方

どんな病院が「いい精神科」だろうか。

これは非常に難しい質問で、もしかしたら正解は無いかもしれない。精神科の場合、内科とは違って治療が一本道ではない。そのためどうしても「合う、合わない」が存在する。

それでも少しでも自分に合った病院を選ぶためにどうしたらいいだろうか。

 

まず選択肢が二つある。大きな精神科病院と、小さな精神科病院。総合病院の精神科は、小さな精神科病院に入る。精神科単体で入院のベッドを持っていないことが多いからだ。入院施設があるかどうかで、違いがある。

 

大きな病院の場合、中には精神科医がたくさんいる。その中のどの先生にあたるかは、選べないことが多い。大きな病院を選ぶときは、なるべくDr.が多い病院を選ぶようにしよう。アルコールとか認知症とか、専門外来がたくさんあるのも高ポイントだ。専門外来がたくさんあるということは、いろいろな分野に精通した先生がいるということで。勉強熱心な人が多い。

その中のどのDr.にあたるかは運だが、医者が多い病院は、医局内で議論が活発なことが多い。そのため、治療方針も間違った方向に進みづらい。医者が少ない病院でももちろん良い病院はあるだろうが、僕がざっくり選ぶなら医者が多い病院を試してみる。

ちなみにネットで検索するとよく、「受付の態度が悪い」などと書かれているが、そんなもの実はどうでもいい。受付が治療するわけではないのだから。

 

一方小さな病院。クリニックの選び方。

正直に言うと、外から見て良し悪しを見抜くのは難しい。たとえば私が、縁もゆかりもない土地の精神科をネットで検索してどれかを選べと言われたら、とても悩むだろう。

 ネットの評判だけで判断が出来ない。これは大きな病院選びでも言えることだ。 

精神科の患者は時に被害妄想だったり、非常に偏ったものの見方をする人がいる。人格荒廃すすんでいれば、記事の内容から異常さがにじみ出ていて分かるだろうが、いたって普通の文章で苦情を書き込む人もたくさんいる。

私が働いていた病院でも、人格・知識ともに大変優れた優秀な医師の悪口が、レビューに書かれていた事がある。根も葉もない話だったり、妄想だったりするのだが、その文章を見るだけではそれが分からない。それゆえに精神科では、悪いレビューがあるからといって、本当かどうかの判断が難しい。ただ、3つ4つ、別々の人から悪いレビューがついているようならば、その先生は避けても良いかもしれない(経歴が長い先生は、2つ3つ悪いレビューがついていることも時にあるけれど)。

 

ではレビュー以外でどうやって見極めればいいのかというと、もう結局行ってみるしかないだろう。ひとまず悪いレビューが多くなくて、通いやすいところへ行ってみる。

その時にぜひ、その先生の混み具合を見てほしい。病院全体ではなく、その先生単体の待ち時間だ。

精神科は基本的にどこも、予約でいっぱいのはずだ。たまには空いてる日もあるだろうが、待ち時間が長いのは当然なのだ。これは精神科のみならず、どこの科でも言えるだろう。閑古鳥が鳴いているようでは話にならない。

しかし最近の精神科はどこも予約制なので、一見込んでないように見えることもある。そんな時は再診予約の取りやすさを見てみよう。自分の好きな時間になかなか入れられないときは、混んでいる可能性が高い(その先生がやる気がなくてそもそも枠を絞っている可能性もあるけれど)。混んでいるということは、みんなが行っているということだ。悪い医者からは人は離れがちである。

ここで注意点として、”新患”の枠は、もともと絞っている病院が多い(曜日を決めていたり、一日1人だったり)ので、判断材料としては弱い。ぜひ再診枠で見てみてほしい。

ちなみに僕の例でいうと、予約制ではない病院だった時の話だが、5時間待ちまでいったことがある(普段でも2~3時間待ち)。もちろん立地などの関係もあるだろうが、無名の僕ごときでそうなのだから、待ち時間無しはさすがに違和感がある。どうしたって調子の悪い患者さんがいれば、2,30分吹き飛んでしまうのだ。

 

あとはもう、話した印象がどうだったか。話していて辛いな、思ったことが伝わってない気がするな。そんな時は迷わずほかの病院もみてみるべきだと思う。

病院や医者は、患者が選ぶのだ。心配せず、ほかの病院もみてみるといい。そこで嫌そうな顔をする医者は、大したことがない医者だろう。(人気Dr.は忙しいので、一人二人減ってくれるのは実はむしろ嬉しいぐらい)

 

人がすすめた病院が良いとも限らない。その人にとっては良くても、そもそも病名も違えば性格も違うのだから。あまり人の評価は気にせず、自分で行ってみるといい。必ず、この先生なら話しやすい、という人がいるはずだ。精神科の病気は長い付き合いになることが多い。医者選びに時間をかける価値は、きっとあると思う。