精神療法と言っても多岐にわたる。そしてその多くを、実は医者は行わない。なぜならば時間が無いからだ。専門外来だったり、大学病院のような時間の取れる病院は別として、一般的に外来で精神療法をする時間はほとんどない。30分の枠に5,6人いれるので、平均すると一人5分。しかし中には調子が悪かったり、突然入院の手続きが必要になったりする。そうするとあっという間に30分丸々持っていかれてしまう。結局他の患者さんを縮めて埋め合わせるしかなくなってしまう。大きな声では言えないが、究極に忙しい時は椅子に座らせずに帰らせるのを目標にするぐらいだ(本当は5分以上診察しないとだめだけど・・・)
そのような事情で、精神療法はカウンセラーに投げている病院が多いように思う。
しかし、しっかりした「〇〇療法」のようなものでなくても、日々の診察の中でいろいろと気を遣う。例えば椅子の高さ、距離、腕を組むかどうか、などなど挙げだしたらキリがない。ただこれらは患者サイドから見ても、医者が意識しているのかどうかわかりづらいかもしれない。
分かりやすい指標として、どれぐらい喋るかが良いのではないかと思う。
研修医のころに教えられたことがある。
「患者より喋ったら失敗」
これがやってみると本当に難しい。どうしても言いたいことが出てくるし、何か声をかけないと話もすすまないし。悩みを言われたら気の利いた一言二言でも言いたくなるし。しかし治療の肝は傾聴にあるので、何よりもしっかり患者さんに話をさせることが大切なのだ。そのスタイルが合わないタイプの患者さんもいるだろうから、一概には言えないが、しっかり話を聞いてくれるDr.が良いDr.なのは間違いないように思う。
言いづらいな。言いたいことが言えなかったな。
こう思うことが多いようならば、要注意だろう。