包み隠さず精神科

現役精神科医が精神医療の内情を、包み隠さず話します

「したい事」と「しなきゃいけない事」は分けて考えろ

うつ病からの回復期。意欲面の回復具合はどうかなと思い、「今なにかしたい事はありますか?」こう聞いてみると、半数以上の人はこんな風に答える。

 

「早く仕事に戻りたいです」

「まだ出せていない書類があるのでそれをやりたいです」

 

あえて厳しいことを言わせてもらうと、そんなことを言っているから回復が遅いのだ

タイトルの通りだが、「したい」と「いなきゃいけない」は違う。回復への効果に至っては真逆と言っていい。日本語ではどちらも「したい」と表現できてしまうので難しいのだが、しっかり分けて考える必要がある。

考えてもみてほしい、目の前にニンジンがぶら下がっているから馬は走れるのだ。目の前にめんどくさい書類がぶら下がっていて、走る気になるだろうか。むしろ後ろに戻りたいぐらいの気持ちにならないだろうか。この質問に適切に答えられないと、前に進みたくなくなってしまう。

 

「何かしたい事はありますか」

に対する答えとしては、「読みかけの本を読みたい」とか「友達とコーヒーを飲みに行きたい」とか、楽しいことを答えないといけない。ここで楽しい事、つまり本当の「したい事」が思い浮かばないようならば、引き続き休養が必要だ。意欲が回復していないのだが、仕事や家事なんて言ってる場合ではない。前回の記事でもお伝えしたが、遊ぶ事も出来ないのに仕事が出来るわけがない。

 

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金銭的に苦しかったり、家族にしわ寄せがいっていたり、焦る気持ちもあるだろう。それはもちろん、本当にその通りだと思う。だけど仕方ない、出来なきとは出来ないのだ。早く回復しないといけないからこそ、一つずつステップを上がっていこう。まずは、「したい事」が出てくるのを待つところから。「しなきゃいけない」は後回し。