包み隠さず精神科

現役精神科医が精神医療の内情を、包み隠さず話します

約束は、する方も破ってはいけない

育児や教育の現場で良く目にする事だが、約束を破る人がいる。

 

たとえば宿題をなかなかしない子供にしびれを切らし、ついカッとなってこう言ったとしよう

「晩御飯までに宿題終わらせてなかったら、もう家から出て行ってもらいます!!」

それに対して子供は、気のない返事をは~いと返す。

この段階で、約束が成立する。もしここで子供が「いや、それは困ります」と反論した場合、約束はまだ成立していない。一方的に押し付ける条件は無効と考えてよいと思う。双方でもう少し条件を検討しあい、同意しあえる約束をしていくべきだ。

しかし「は~い」と曲がりなりにも返事をしたのならば、これは守らないといけない。子供のみならず、親もだ。

子供は当然宿題を終わらすべきだし、もし仮に子供がその後も遊び続けて宿題を終わらせなかったのなら、家から出て行ってもらうべきなのだ。

子供を放り出すなんて可哀そうだ、やりすぎだ、虐待だ。その通り。だからこれは、約束の内容自体が間違っている。約束をするならば、実行できる内容に限るべきだ。

 

小さな子が喧嘩をするとよく「〇〇ちゃんとはもう一生遊ばない!」なんて言い放つことがある。言われたほうも小さな子ならば泣きもするだろうが、大人から見るとなんとも微笑ましい。たいていの場合一時間もすると、二人は仲よく遊んでいるのだから。

しかしこれが社会に出て取引先の重役が相手だとどうだろうか。「おたくとはもう取引しない」。とてもではないが微笑んでいる場合ではないだろう。背筋も凍る思いだ。

 

なぜこの2つで差が出るのかというと、実行力の差に他ならない。「もう一生遊ばない」なんてことは無いだろうと分かるので、大人は微笑んでいられるのだ。しかし取引先の発言は、おそらく本当に実行される。だから笑っていられない。

 

些細な約束でも効力を発揮したいのならば、言ったことは守らなくてはいけない。ご飯をあげないと言えばあげてはいけないし、家から放り出すと言えば放り出さないといけない。そしてそんな事はすべきではないので、そもそもそんな発言をすべきではない。

お小遣いを減らすとか、ゲーム機を24時間使用禁止にするとか、達成できる条件にしよう。そして必ず、実行しよう。

約束は、提案した方も守らないといけない。提案した方が守るからこそ、された方も守るのだ。

「宿題するって言ったのにどうしてしてないの!!」なんて責めてはいけない。あなただって晩御飯をあげないといったのに、あげるのだから。

 

約束を破っているのは相手だろうか?それともあなただろうか?まずは自分から、約束を守るように意識しよう。