包み隠さず精神科

現役精神科医が精神医療の内情を、包み隠さず話します

医者が看護師に報告してもらいたい事 精神科ver.

医師に電話するとき、嫌な気持ちになりはしないだろうか。

もちろんそんな対応をする医師のほうに主な原因はあるのだが、そうは言っても医師をとって変えるわけにもいかない。そんな医師たちと付き合っていくために、こんなところを気を付けてもらえると・報告してもらえると嬉しいよ、というものを記載していこうと思う。

 

日常編

基本的に聞きたいのは

・入院したての人

全体的な様子を聞きたい。動かないとか、変なこと言っているとか、大声が出るとか。落ち着いていて普通です、なんかでも良いだろう。ひとまず観察して感じた精神症状や体調面を教えてもらえると助かる。とはいえ、入院したての人は医者側も気にしているので、こちらから「どんな感じ?」と聞くことも多いと思う。

・入院後しばらくした人

まず聞きたいのは2点。退院の邪魔になっている要素と、薬への反応だ。

ご飯が食べられないとか、夜ごそごそしているとか。何を治したらいいのかが明確になると助かる。そして薬の反応は、効果の面も知りたいし、副作用が出ていないかも重要だ。これに関しては普段から、治療に興味を持っていないと難しいかもしれない。今何を治療しているのか、飲んでいる薬はどんな副作用が出やすいのか。この辺りを把握していないと、観察が難しい。しかしこれらこそ、われわれ医師の知りたいところなのだ。

あとは無視できない要素が出てきたら報告をもらえると嬉しい。

便秘が続いている時、食事や水分が入っていないとき、夜眠れていないとき、暴力がみられるとき。この辺りが多いだろうか。特に食事が入っていないとか希死念慮など、命に関わる情報は毎日報告をもらっても良いぐらいだ。

 

当直編

当直の時は聞きたい情報が一転する。精神科単科病院の場合、200~500床ほどのベッドを医者一人で受け持つのだ。些細な報告はどうでも良くなる

たとえば熱が出ている報告。とても大切な情報だが、実は当直中はそんなに気にしていない。500床もあれば、熱が出ている人だけで10人20人いたりするわけだ。その全部の報告を聞いても、結局何も頭に残らない。

A「昨日まで熱が出ていなかったけど、今はかったら38度でした」

これはとても大切な情報だ。ぜひ報告してほしい。

B「2日前から肺炎で抗生剤が出ています。今日も39度でした」

これはいらない。

何が違うかというと、主治医が把握しているかどうか、これに尽きる。主治医が把握して対処している状態ならば、特に報告は無くて良い。主治医が把握しているかどうかをベースに考えると、上のBの報告も必要な時がある。たとえば前日までは37度台後半までしか出ていなかった時。この時は、39度台の発熱は主治医が把握していない変化なので、報告が欲しい。

当直の時は、精神状態の変化はそんなに気にしていない。どうせすぐにどうこうすることは出来ないのだから。精神面で必要な情報は、隔離や拘束が必要なほどの状態かどうか。行動制限せずにみれそうならば、報告は平日に主治医にしてもらえると助かる。

 

電話編

電話が塩対応の医者も多いだろう。なぜかというと、死ぬほどかかってくるからだ。もう段々イライラして、もうイライラを通り越して殺意を覚えるぐらいかかってくることもある。一つの病棟では1回だけでも、10個の病棟をまたにかけていれば回数は10倍になる。外来や外からの電話も含めたらそれほもう気が狂いそうなほどだ。

電話をするときに心にとどめていてほしいのは、精神科医は患者と話している可能性がある、ということだ。我々精神科医にとっての精神療法は、外科医でいう手術に匹敵する。大げさではなく、時に患者の生き死にを決めるレベルで話を掘り下げている。頭をフル回転し、診察室の空気までコントロールして治療にあたっている時に、「急ぎではないんですが~」なんて電話がかかってこようものなら大ごとだ。

まず第一に、急ぎでない電話は全く必要ない。適当に連絡ボードにでも要件を書いて置いておいてほしい。急ぎの中にも優先度がある。

 

生死が関わるレベル

これは何も考えずすぐに電話しよう。場合によっては全館放送をしてドクターコールをしても良いだろう。何も迷うことは無い。

直ちにではないが、早く対処しないとマズいレベル

これもPHSを鳴らしてもらって構わない。ただし、外来の時間じゃないかな?は確認してもらいたい。それ以外の時間ならば電話をかけよう

今日中には報告したいレベル、もしくは患者はいいのだがスタッフが困るヤツ

これは病棟に来ないならばいつかは電話をしないといけないのだが、思い立ってすぐにするのは控えてもらえると助かる。電話の向こうでは治療をしている可能性があるのだから。病棟へ医者が上がってくるのを待ってみて、もう無理これ以上待てない、という時間になったら電話してみよう。そうすることで、似たような報告もまとめてすることが出来るので、お互いに時間の無駄を減らせる。この時も外来の時間じゃないかをよくチェックしよう。

 

・お忙しいところすみませんは不要。○○病棟の△△ですの△△も不要。

 急ぎなら「急ぎの報告です」。そこまでではないなら「今いいですか?」など、端的に緊急度が伝わる第一声にしてもらえるだけで、助かる。自己紹介も私個人としては不要と考える。病棟と要件さえわかれば、あなたがどこの誰だろうとどうでも良い。

・なるべくまとめて報告しよう。

・病棟へ来てほしいなら、そう言おう。我々はなるべく移動する距離・時間が短くなるように動いているので、寄り道をしたくない。必要なら来てくれと言ってくれないと、回避しようとする習性がある。

・丁寧かどうかよりも、内容が整理されているかどうかが重要。

・どう頑張ってもイライラしている医者はいる。仏のような優しさの医者がイライラしている時もある。割り切ろう。

 

 

以上、医者からの一方的な見え方でした。